奴隷のしつけ方

奴隷のしつけ方

奴隷のしつけ方



著者が膨大な文献を基に推測した古代ローマ奴隷制について、

架空?のローマ人に語らせるというスタイル

(著者は解説者として章ごとに解説を加える)



古代ローマの文献や近現代の論文が多数引用されている



組織論として読む向きもあるようだが、基本的には歴史というか文献学の本




目次

序文 主人であれ

第一章 奴隷の買い方

第二章 奴隷の活用法

第三章 奴隷と性

第四章 奴隷は劣った存在か

第五章 奴隷の罰し方

第六章 なぜ拷問が必要か

第七章 奴隷の楽しみ

第八章 スパルタクスを忘れるな!

第九章 奴隷の解放

第十章 解放奴隷の問題

第十一章 キリスト教徒と奴隷

あとがき さらばだ!





序文 主人であれ

ギリシャ 奴隷は自然によって奴隷

ローマ 奴隷は一時的な状態


第一章 奴隷の買い方

ローマでは主人が奴隷に生ませた子は奴隷



第二章 奴隷の活用法

ストア哲学の影響

奴隷も精神は自由


農場管理人は重要な仕事

その妻も女奴隷を仕切る



第三章 奴隷と性

奴隷同士の事実婚を認めるケースも

家族を持つことで従順に



第四章 奴隷は劣った存在か

奴隷の英雄的な逸話

セネカが奴隷に同情的な記述をするも、ローマ社会で奴隷制が批判されたことはない



第五章 奴隷の罰し方

奴隷の罰し方は次第に法に則るようになった(皇帝が調停に呼ばれ、その後法制化)

プロの奴隷仕置き人もいた

逃亡はそれなりに成功する



第六章 なぜ拷問が必要か

法廷で証言させる時は拷問するのが普通

ドミティアヌス 富豪の奴隷に嘘の証言をさせて富豪の財産没収

基本的には証拠で決める、奴隷の証言は最終手段

主人の殺害を止めなければ処刑

主人殺しの記載は少ない(実際に主人殺しが少なかったかは謎)



第七章 奴隷の楽しみ

家内奴隷は農村奴隷よりだいぶ楽

仕事も肉体労働が少なく、余暇も得られやすい



第八章 スパルタクスを忘れるな!

ポエニ戦争後にシチリアで大規模な反乱

戦争後は出身地の同じ奴隷が増えるので危険

奴隷が増えると主人の扱いも粗くなる

奴隷の中に軍の指揮官も

牧夫は野外での生活に慣れているため武装集団になりやすい

シチリアの反乱は魔術師と呼ばれる男が扇動


スパルタクス ウェスウィウス山に立てこもり、討伐軍を複数回撃破

反乱軍の規模は拡大していたが、いずれは負けると考えローマ国外への逃亡を企図

副将は従わずに離脱、討伐軍と交戦して敗北

本隊は北上中も討伐軍を複数回撃破


ブッラ・フェリクス 情報網と賄賂を使って討伐軍を欺く



第九章 奴隷の解放

主人の死後、遺言によって解放されることが多い

解放の際に課税、解放数に制限(所持奴隷の20〜50%)

解放後は保護者と被護者の関係に

家内奴隷の解放はそれなりにあったが、農村奴隷は管理人以外稀

解放後も数年は主人の下での労働が課されることが多い

家内奴隷の解放までの期間は5〜20年程度



第十章 解放奴隷の問題

皇帝の奴隷はいくつかの特権

クラウディウス帝は解放奴隷に政治の意見を求めた

公職に就けないので客観的な意見



第十一章 キリスト教徒と奴隷

奴隷に対する姿勢は異教徒とあまり変わらない

奴隷は不道徳なものという見方

奴隷の性的搾取には批判的



あとがき さらばだ!

著者は古代ローマの庶民の生活が専門