なぜ選ぶたびに後悔するのか

なぜ選ぶたびに後悔するのか―「選択の自由」の落とし穴

なぜ選ぶたびに後悔するのか―「選択の自由」の落とし穴

最初の章で、非常に多くの選択に晒される現代人の生活を俯瞰。

次の章では主に(人間の選択の不合理に関する)行動経済学の知見を紹介。

以降の章で著者の「最大者・満足者」の話が。


アイザイア・バーリン

積極的自由:「〜する自由」

消極的自由:「束縛されない自由」


アマルティア・セン


テレビ番組も自由に選択

ピクチャー・イン・ピックチャー

TiVo


ボランタリー・シンプリシティ運動

敢えて単純に暮らす


シーナ・アイエンガー

When choice is demotivating: can one desire too much of a good thing?


カリフォルニア州 電力自由化で失敗


消費者の多くは電話サービスや電力プランの自由化を歓迎するが、選択肢を調べてもいない。


アメリカの一部の医療

診察項目も患者が決める


ジェイ・カッツ『医者と患者の沈黙の世界

患者の主体性を重視するきっかけ?



もし癌にかかったら自分で治療法を選びたいか?

YES 65%(非癌患者)

がんの治療法自分で選びたいか?

YES 12% (癌患者)


32歳のアメリカ人は平均して9社で働いた経験を持つ




経験効用:実際に得た満足感

期待効用:得られるであろう満足感

記憶効用:過去に得た満足感


ダニエル・カーネマン

ピーク・エンドの法則

一連の出来事のうち、最後の部分の印象が後の選択に大きく影響する



大学生にゼミの休憩時間に食べるおやつを選ばせる。
一群に3週間分(3回分)選ばせると違う種類のものを1つずつ選ぶことが多い。
もう一群には毎週ゼミの時に1つずつ選ばせるが、そうすると同じものを選ぶことが多い。


アベイラビリティヒューリスティック

手に入りやすい情報に影響されやすい、みたいな。


アンカーリング

比較対象の提示


フレーミング

同じ選択を別の形式(表現)で提示


確実に100ドル得るor1/2の確率で200ドル得る→確実な100ドルを選ぶ

確実に100ドル失うor1/2の確率で200ドル失う→1/2の確率で200ドル失う方を選ぶ

額にもよりそう。額が小さければ低い確率で大きな報酬を得る傾向が強まるはず。


プロスペクト理論で説明可能

(獲得・損失金額に伴う)満足感も不満も、徐々に逓減する。

ゆえに「少ないが確実な報酬」と「大きいが確率の低い損失」を選ぶ。

ちなみに満足感よりも不満の方が大きい→所有効果


所有効果:自分が持っているものを高く評価

プロスペクト理論の不満部分が満足感の部分より大きいことで説明することもできる。

返品払い戻しもこの理由で件数が少ない。

同様の原理で、所有したマグカップにつける売り値は所有してないマグカップにつける買値より平均3割ほど大きい。

また、車の販売時にあらかじめオプションをつけて不要なものを断らせる方が、何もオプションをつけずに必要なものを要求させるより多くのオプションを客に買わせることができる。


心理的会計

コンサートチケットを買う(買い直す)かどうか?

紛失したのがコンサートチケットか20ドル札かで選択が違う。

「チケット代」という分類の枠内で考えてしまう。


ハーバート・サイモン

「満足する」



マキシマイザーのスコアと悲観主義のスコアは相関

マキシマイザーのスコアと完璧主義のスコアも相関

ただし完璧主義のスコアと悲観主義のスコアは相関しない?

マキシマイザーと完璧主義の違い

目標が高いのは一緒。

完璧主義はそこに到達できると思わない?が、マキシマイザーは到達できると思ってる。


選択肢の増加はマキシマイザー傾向を強めるだろうか?


セリグマン

学習性無力感


選択肢の無さが絶望に繋がる

では選択肢が増えて絶望は減ったか?


1966年と1986年の調査

「周囲の出来事は私に関係なく進んでいく」「私の意見は重要でない」共に増加。


デビッド・マイヤース『アメリカン・パラドクス―豊かな時代の心の飢え』


ロバート・レーン『市場民主主義における幸福感の喪失』


不満の解消法:退出するor不満の声を上げる

選択肢が増えたので退出すれば大概解決。


アンケートの謝礼として1.5ドルの現金か2ドル相当のペン→大部分はペンを選択

1.5ドルの現金か2ドル相当のペンか1ドル相当のペン2本→大部分は現金を選択


病気の治療に関して、最新の薬の使用か医師にお任せ→75%が最新の薬の使用

二種類の最新の治療薬のどちらかか医師にお任せ→50%が医師にお任せ


議員に経営不振の病院を閉鎖すべきか質問→3分の2が閉鎖

2つの経営不振の病院のどちらを閉鎖するか、あるいはどちらも閉鎖しないか質問→4分の3が閉鎖しない


この本ではloss aversion的な解釈をしている。


5種類のジャムを試食して評価。

一群は評価するだけで、もう一群は理由付きで評価する。

理由を求められなかった群の方が専門家の評価に近い。


理由を求めると、総合的な印象よりも、言語化しやすい一部の特徴に着目して選択する。

ゆえに満足感は低くなる。


大学生に写真と芸術品のポスターを選ばせる。

一群は「変更可能」、もう一群は「変更不能」。

変更可能の群も結局変更しない。

変更の不能の群の方が選んだものの満足度が高い。


オミッション・バイアス

「やるべきことをやらずに損をした」は「余計なことをして損をした」よりも精神的負担が軽い。

ただし遠い過去のことに関しては「やるべきことをやらずに損をした」方を重く見る。


ニアミス

銅メダリストは銀メダリストよりもうれしさが大きい。


反事実思考は、一般に自分が操作可能な事柄についてシミュレートする。


上記の例で「確実に100ドル得るor1/2の確率で200ドル得る→確実な100ドルを選ぶ」というものがあるが、「選ばなかった場合でも1/2の結果を観測させる」とリスクを取るケースが増える。

すなわち、確実な選択肢を選ぶ理由として「逃した利益の確定」を避けようとする心理もある。


無為慣性

「早くやっておけばよかった」と後悔しないために、その選択肢をずっと選ばないでおく。


快楽順応

楽しいことも慣れると当たり前になる

宝くじ当選者も事故によって半身不随になった人も幸福度はさほど変わらない。



快楽の踏み車:何を手に入れても慣れる

満足の踏み車:常に何かを手に入れて満足度を維持しても、その満足度に慣れる


上記のような順応は、(直感的には)予測しづらい


(自分の行動だろうが、外部の事象だろうが)予測はほぼ毎回実際より大げさになる


両親より自分の方が苦労しているか?

全体の43%がYES

裕福な家庭の子女だと50%

「選択肢があり過ぎる」


主観的幸福感の高い群は、低い群よりも他人のパフォーマンスを気にしない。

(自分に向けられた評価は同程度に気にする)


能動性と満足度

操作するとオモチャが動く群と動くオモチャを見るだけの群(赤ん坊)

操作できる群は飽きにくい

老人ホーム入居者に「自分で育てる植木」を与えると満足感・寿命等が上がる


セリグマンの「反省の仕方」の分類

普遍<=>個別

永続<=>一時

個人<=>全体


最後の章に後悔しないためのTipsなど。

そんなに意外性はない。