システムトレードに関して
テクニカルはさほど当てにならなさそう。
長期的にレートがあまり動かなくても「等間隔でナンピン→一定の上昇幅で利益確定」を繰り返すことで利益を出すことができる。
ボックス圏だと特に有利。
ただし(意図とは逆の)値動きに対して投入資金が一次関数、損失額は二次関数で増える。
資金切れでロスカットされれば利益が一瞬で吹っ飛ぶので、総資金に対してかなり小額の投資にせざるを得ない。
ファンダメンタル等からレートの上限・下限を見極めることが肝要か。
〈具体例〉
例えばドル/円で取引。
1ドル=80円で1万単位(1万ドル=80万円)ドルを円建てで購入したとする。
その後1ドル=81円で売れば1万円の利益。
逆に1ドル=79円になったらもう1万単位ドルを購入する。
以下、1円ごとにポジションを増やしていく。
1ドル=70円の段階でドル買いのポジションが11万単位、損失が55万円。
1ドル=60円の段階でドル買いのポジションが21万単位、損失が210万円。
値動きが逆方向に動いたら1円ごとに1万単位売る。
その都度1万円の利益。
損失を大きくしたくなければ、1000万円の資金で1万単位ごとに取引する、程度の売買が無難か。
さほどレートの変動がない時に、資金を月に数%増やすことができれば上首尾だろう。
〈検討事項〉
ナンピンの幅をどうするか?
基本的に資金の総額とリスクの許容範囲で決まるが、同程度の資金を投入する場合でも1円ごとに1万単位買う方法もあれば、0.1円ごとに1000単位買う方法もある。
まぁこれに関しては手間と若干の売買頻度のトレードオフに過ぎないが。
利益確定の幅をどうするか?
1円ごとに買って1円上昇で売る戦略の場合、最悪2円弱の上下では全く取引できない状況になる。
(例えば79.1円から80.9円で値動きすると購入も売却もできない)
0.1円ごとに買って0.1円ごとに売る戦略なら、0.2円以上の値動きで確実に取引が生じるが、1回の取引での利益は(1000単位で購入していれば)100円にしかならない。
仮に(意図した方向に)ひたすら上昇(下落)を続けた場合、利益確定の広さがそのまま利益の大きさに繋がる。
ただボックス圏での売買の場合、購入の幅と売却の幅を小さくすれば売買頻度が上がるので、一概には結論がでない。
試しに2011年の4月14日21時から翌日21時までのEUR/USDの値動きを追ったところ、ユーロが0.001下落するごとにポジションを1000単位増やして0.001の上昇ごとに決済すると、20回決済することになる。(1ドル80円とすれば、1回の決済で80円の利益になるので、1600円の利益。ただしこの日はユーロがドルに対して値下がりしてるので、トータルではマイナス)
またユーロが0.001下落するごとにポジションを1000単位増やして0.002の上昇ごとに決済すると、8回決済することになる。(1回の決済で160円の利益になるので、1280円の利益)
同様に0.003の上昇ごとに決済すると、3回決済することになる。(1回の決済で240円の利益になるので、720円の利益)
…まぁ全体の値動きが小さければ利益確定の幅が小さい方が有利なわけだが。
値動きの大きい日(価格が一方向に動く日)であれば、利益確定の幅が広い方が有利になるかもしれない。
〈追記〉
上記でナンピンの間隔を狭めて一回当たりの投入資金を小さくしてもさしたる違いはないだろうと書いたが、検討が必要かもしれない。
1円下がるごとに1万単位買うのも、0.1円下がるごとに1000単位買うのも、投入する資金はさほど変わらない。
利益確定の幅を同じにするなら、生じる利益もほぼ同じである。
ただ「売買が成立しない幅」に関してはどうか?
1円ごとに買う場合、例えば79.1〜80.9の幅で動くと売買が成立しないが、0.1円ごとに買うとどうか?
79.1で買ったものを80.1で売ることができる。
ゆえにこちらの方が(手間はかかるものの)ボックス圏での収益は大きくなりそうである。
基本的にナンピンの間隔は狭いほどいいし、一回当たりの投入資金は小さいほどいいわけだ。
他に論点があるとすれば、資金の総額や証券会社の制度上、投入資金を減らしてナンピンの間隔を狭めることができない場合、必然的に取引の生じない値幅が広がるわけだが、その際には利益確定の値幅はそこそこ広げるべき、といった話か。
1円ごとにナンピンする場合、0.1円で利益確定するなら取引が生じない間隔は1.1円(弱)。
0.2円で利益確定するなら取引が生じない間隔は1.2円(弱)。
前者が後者の2倍の取引頻度になるとは思えないので、ほぼ確実に後者が有利である。
取引する通貨の値動きにもよるが、おそらく1円ごとにナンピンするなら1円未満の幅で利益確定するのは賢明な選択肢ではないだろう。
あと上記ではあまり議論しなかったが、基本的にレートの動く方向は見極める必要がある。
長期的には購買力平価に近い動きをするだろし、インフレ傾向から購買力平価の動きを読むのはそこまで難しくはない。
ただ「動く方向は分かるがタイミング分からない」という状況だと、金利差(スワップポイント)が問題になる場合がある。
例えば豪ドルを円建てなりドル建てなりで売った場合、金利差で毎日スワップポイントが生じるので、非常に長い期間ポジションを維持すると、売買益がスワップポイントで消えることになる。
まぁインフレ率が金利並みに高いのあれば、それがレートの低下に繋がるので長期的には損失は生じないだろうが、現在の豪ドルなどはインフレ率を考慮しても他の通貨より金利面のアドバンテージが大きい。
現在の為替レート自体は購買力平価よりかなり高い水準なので長期的に豪ドル価値は下がるだろうが、下落するタイミングをある程度予測できないと金利で損失が生じることになる。
最後にどの程度レバレッジを掛けるかという点について。
80円でドル円を買って、「最悪でも70円までしか下がらないだろう」と思っていたとする。
ただそれでも万が一ロスカットされればそれまで利益が全て飛ぶので、60円まで持ちこたえられる程度のレバレッジにするのが無難ではあろう。
持ちこたえるのに必要な資金は保証金+損失額だが、買い始めた価格から大きく乖離すると基本的に損失額が問題になる。(保証金は一次関数、損失額は二次関数なので)
「最悪でも10円までしか下がらないと思うが、念のため20円持ちこたえる程度のレバレッジにする」といった具合に、持ちこたえられる値幅を2倍にするとレバレッジはおよそ4分の1になる。