アメリカ格差ウォーズ
- 作者: 町山智浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/09/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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クーリエ・ジャポンの連載記事をまとめたもの。
町山さんの著作としては割とシリアスな内容。
他の雑誌のコラムと違い、頻繁に笑いを取りにいくことはないが、読みやすく印象的な文章は健在。
露骨な民主党寄りのスタンスも変わらず。
民主党 元々は保守
世界恐慌後に逆転?
フーヴァー(共和党)は市場への介入を避けようとしたが、ローズヴェルト(民主党)はケインズの理論に基づき積極的に介入。
FOXニュースの話。
彼らは「ジャーナリズムは中立であるべきか、中立なジャーナリズムとは何か」という論争に持っていこうとしているが、それは違う。FOXの問題は、「ウソつき」だということなのだ。
FOXの人気パーソナリティ
コーク・インダストリーズ
非上場企業としては全米で二番目の規模
コーク兄弟が会長・副会長
デイヴィッド・コーク(弟)は文化事業に多額の寄付をすると共に、共和党やティーパーティー運動を強力にバックアップ
79年にリバータリアン党からエド・クラークが大統領選に立候補した際の副大統領候補
マーカタス・センター シンクタンク
ブッシュ大統領が行った23の規制緩和のうち、14はマーカタス・センターの発案
「スモッグのない青い空は皮膚がんの原因になる」
債務上限引き上げに強硬に反対
アイン・ランド『肩をすくめるアトラス』
ティーパーティの聖書
著名政治家にも信奉者が多数
アリーサ・ローゼンバウム ロシア生まれのユダヤ系
共産主義下のロシアで父が財産を没収される
『水源』→『摩天楼』
グリーンスパンは彼女の弟子?
ウォール街占拠運動を支持
酒・タバコ・コーヒーを禁ずる→ココアの愛飲者が多い
全米人口の2%ほど
共和党支持者が多いが、共和党保守からは宗教的な理由で敵視されることも
教義の内容は福音派に近い
教祖 ジョセフ・スミス
約束の地を求めて信者を連れて開拓期のアメリカを彷徨うが、各地で地元住民、民兵と衝突
大統領選に立候補
地元住民との抗争が激化し、警察に自首して保護を求めるが、暴徒に獄中から引きずり出されて惨殺
一夫多妻制は本来の教義にはなかったが、スミスに20人の妻(14歳の少女を含む)がいたことが発覚したので、教義を修正
中傷CM合戦
FOX、CNNの視聴者の平均年齢は60歳以上
最高裁長官アール・ウォーレン
保守的な言動で知られていたが、最高裁長官就任後はリベラルな判決が多い
「君には黙秘権があり、弁護士を雇う権利がある」
ロー対ウェイド裁判
人工中絶を禁じる州法を違憲とする判決
この判決はキリスト教保守に危機感を与える
1992年には9人中8人が共和党の大統領によって任命された判事
州際通商条項の原則
州をまたぐ「通商」に連邦政府は介入できるが、それ以外には介入すべきでない
オバマケアは共和党員が州知事に就いている各州で憲法違反だと訴えられる
最高裁の判決に委ねられることに
現在は9人中5人が保守なので違憲判決が濃厚と見られていた
結局反対派の中心人物と目されていたジョン・ロバーツ長官が賛成票を投じたのが決定的となり、合憲判決となった