バブル組

ひょっとして……“バブル組”に苦しめられていませんか? (1/3) - ITmedia ビジネスオンライン

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)など。


いまの管理職層の多くは、1980年代半ばから1990年前後までのバブル時代に就職している。


ある金融機関の人事部では、「花の90年組」という言葉が使われている。1990年に入行した社員のレベルが他の年次の社員に比べて、低いからだ。それを皮肉って「花の90年組」という。


「この時代に極端ともいえる大量採用で、常識的には入ることが不可能な人たちが一気に一流企業に入社した。20年後にその採用戦略のあおりを受けて苦しんでいるのが、20代〜30代前半の若手。実は、この世代の方が潜在能力は高い」


さらに、管理職の権限がかつて(1980年代〜1990年代後半までくらい)に比べると、強くなっていることも忘れてはいけない。この場合の権限とは、部下の採用、育成、評価、配置転換、さらにはリストラの指名なども含まれる。


だが、私は、この動きを無条件で賛成しない。権限を強くする前に、管理職たちを教育し、一定の知識やモラルなどを身に付けさせることが先決なのではないか、と考えるからだ。


管理職などのミドル層の改革をテーマに活動をする人事コンサルタントの重光直之さん(ジェイフィールの執行役員)はこう答える。


「権限を強くすると問題が解決すると考える以前に、ミドル層はやるべきことがあります。そもそも今、ミドル層がマネジメントをしていく上での中心の課題は、部下の内発的動機をいかに高めるか、ということ。つまり、部下が仕事とどのように向かい合い、いかにしてモチベーションを上げるように誘うか、といったことが求められているのです。

 ミドル層の権限を強くすることは、ある意味で、危険な兆候でもあると私は思います。権限を強くすれば、ミドル層の育成も実はできなくなってしまいます。中長期的に見ると、むしろ、マイナスになるのではないでしょうか。まずは、マネージャークラスの仕事に対しての責任感を高めること、その上で権限の強化です」

 中間管理職のあり方を考えることは、意味の深いことだと思う。そうでないと、次世代を担う20代〜30代が報われないからだ。