日本のニート・世界のフリーター

内容的に↓とかぶるかも。
若者が《社会的弱者》に転落する - jotunの覚え書

特に「ヨーロッパでは20年早く顕在化していた」とか「まずはヨーロッパに学ぶべき」みたいな論調が。
上の本は後半「家族論」的な話になっていたけど、この本が政府の施策を詳しく述べる感じなのかな?


英国;ニューディール
ドイツ:デュアルシステム
企業がコストを負担

日本版デュアルシステム


フランス 最低賃金高→雇用されず


「構造的失業率の上昇」


OECD 正社員に対する保護規制を緩和せよ
日本では難しい?


均等条件の確保


ベビーブーマーの就職時

アメリカ・カナダ 賃金低下で雇用はある程度確保

ヨーロッパ 賃金維持&失業率上昇


最低賃金(いつのデータ?為替は05年換算、ヨーロッパの値は高め?)

日本 655円
アメリカ 566円
英国 921円
フランス 1027円

下げないと雇用は確保できないが、若者自身も下げたがらない(とりあえず進学)


各国の非賃金コストの比較

社会保障費などの会社負担 米英は低め


ドイツ 戦後、労働組合を経営に参加


東ヨーロッパ 低賃金
仕事がそっちに流れる


雇用保護規制(EPL)が厳しい国では、若者と女性の雇用が減少

日本 ヨーロッパの平均くらい

英国 かなり低い

米国 極めて低い


若者の失業率上昇

でも幸福度はそんなに下がってない

自殺者もそんなに増えてない


早期退職制度は若者の雇用増に効果がない?


4つの若年雇用政策(主にヨーロッパでの)

1.学校から仕事への移行の促進

2.積極的雇用政策
単に失業手当を出すのではなく、求職・職業訓練を行っている者に手当を出す

3.企業に対する施策
最低賃金とか

4.ニート対策
セーフティネットによる雇用・教育機会


ヨーロッパの福祉手当

日本の生活保護の相当

収入が少なければ誰でも受けられる(家族の収入関係なし)

若者が受給するのは簡単


ニート

不利益層(disadvantaged group)


英国

1970年代 経済悪化 若者失業

1973年 「雇用及び訓練法」

1979年 保守党サッチャー政権 規制緩和&民営化
再び雇用情勢悪化

需要刺激策(金のばらまき)ではなく職業訓練重視(16-17歳を対象)

受講者に手当、訓練協力者に助成金

姿を変えて現在も機能


80年代半ば以降 英の雇用政策の転換 高福祉から積極的雇用政策(定期的な面接義務化)

93年 最低賃金制廃止(!)

99年 最低賃金制再導入


全国職業資格(National Vocational Qualification)

民間資格や国家資格を再編成し、86年に法制化


ニューディール政策

ブレア政権化の積極的雇用政策

18〜24歳対象

1.求職手当受給中に職探し
見つからない場合↓
2.失業者一人ひとりにアドバイザー(雇用サービス局の職員)が付く。
それでもみつからない場合↓
3−1.資格を持ってなければ1年間の教育訓練(資格取得に向けた)
or
3−2.国から助成を受けた雇用主の下で雇用、週一以上を資格の教育に
or
3−3.ボランティアで半年働く。週一で資格の教育
or
3−4.政府の環境タスクフォースで働く。週一で資格の教育

どれかを選ばないと手当がカット。

今のところそれなりの効果あり?

問題点

コストがかかる。特にアドバイザーの人件費

「カルーセル効果」就業してもすぐに辞めて戻ってくる


コネクションサービス

13〜19歳対象(1割がニートだった!)

アドバイザー(約2000人。目標1万人)

特定の機関に所属

週7で8:00-26:00まで対応

学校でこういうことやるのは無理。

ニート3%減?


フランス

若者と女性の失業が特に顕著

〜70年代初め 経済発展

70年代半ば(オイルショック)〜 不況

職に就けずに進学

政策は「訓練を目的とした雇用」みたいなものが多い
イギリスと似てるっちゃ似てる


若年雇用新サービス

新しい仕事を作ったら若者の給与を助成


ドイツ

デュアルシステム

企業と契約して、学校&仕事(2年くらい。中卒・高卒くらいのタイミングで)

7割の青少年が利用

最近は撤退する企業も多い→必ずしも希望した職が見つからず

フツーの職業学校(日本の専門学校的な)は就職時に不利

そのまま就職することが前提→最近はそうでもない→企業が損する


オランダ

オランダの奇跡 90年代の良好な雇用情勢

80年代初め オランダ病 高失業率&経済停滞

オイルショック時に石油・天然ガスで富 国民に福祉のばら撒き

石油価格下落とともに停滞 高福祉により労働意欲低下

ワッセナ階段
経営者・労組・政治家が終結
労組:最低賃金引き下げ受け入れ
政治家:財政赤字削減&減税
経営者:時短による雇用創出

ポルダーモデル


社会経済評議会(SER)

中央計画局 経済のシミュレーション


パートタイマーが多い。

労働時間が短く、それに応じて収入が少ない以外は、正社員と同じ扱い

96年 均等待遇の法制化

労働時間調整法 フルタイム→パート パート→フルタイムを申請できる


イタリア

先進国中、最悪の失業率

87年 若年失業率 35.5%

さまざまな政策→効果なし

南北の経済格差

賃金の全国一律決定方式が原因?

地下経済も規模が大きいので実態は正確に分からない(実はそっちで「雇用」されてるのかも)

女性の労働参加率も低い

南部は生産性が低いが、賃金は北と同一と定められているため、北側が雇うメリットなし。

南部では公的セクターへの就職が多い(比較的高賃金)

「公務員になれないなら就職しない」

(特に南部で)雇用保護規制が強い→経営者は雇用を手控える

失業保険の受給者 2割程度

手厚い年金制度

改正前 所得の8割 15年働けばもらえる(20歳から働けば35歳から年金生活


徒弟契約


高等教育への進学率が低く、義務教育でのドロップアウト率も高い

ほとんどが国立大学 授業料無料(しかし奨学金やローンはない)

規定の年限(4年とか)で卒業する者は1割以下


アメリ

"Employment at Will"

レイオフ制度 勤続年数の短い者から切られ、長い者から戻る


ラーマン教授の試算

失業率1%上昇 若年失業率1.7%上昇 黒人男性の失業率3.5%上昇

若年層よりも黒人の方が不利。

アジア系はそこまで不利ではない

男女の違いはほとんどない


キャリアアカデミー


65年 ジョブコア(Job Corps)
16-24歳対象 高卒資格取得を目指す
無料の教育・訓練



日本

年功序列賃金 若者を安く雇える 採用のインセンティブ

職能給 必要なときだけ雇う

…そもそも「年功序列賃金」と「職能給」は、どっちが「実際の成果」にあった報酬体系なんだ?

「職能」って言っても同じ仕事を効率よくこなす人とそうでない人がいるわけで…


95年 日経連 「新時代の日本的経営」

派遣利用の方針

cf.2001年 小泉政権発足


玄田有史仕事のなかの曖昧な不安

90年代の中高年の雇用維持によって若者が犠牲に


構造的失業率

「欠員はあるけど失業者もいる」


2000年以降は、中高年もリストラの対象になっている

「中高年が若年層を圧迫」という形ではないのでは?


(日本の若年雇用問題における)ヒステレシス効果

「一度正規雇用から非正規雇用に転落すると(景気が良くなっても)正規雇用に戻れない」


2004年 労働基準法改正 解雇条件明文化→解雇条件自体は温存(なかなか解雇できない)

小泉総理 「解雇条件の緩和により労働市場の流動化」→実際は緩和されず


筆者の提言


オランダ型の均等政策

パートタイマーの待遇向上


98年 政府から地方自治体に雇用政策を打ち出すよう指示→「は?」

補助金が出たけど使い道が分からず

元々の労働政策の流れ 厚生労働省→労働局(各都道府県に存在)が実施

「緊急地域雇用創出特別交付金」“自治体の裁量にゆだねて実施”アホか…

使い道の例:「若者を雇ってサルを追っ払う」


「若者自立・挑戦プラン」

2004年度 526億円
2005年度 679億円


OECD カントリーサーベイ

2005年 正規雇用者の雇用保護を削減し、社会保障を非正規雇用者に拡大せよ


スペインでは非正規雇用者の雇用保護を強化したが、全体として就業率が下がっただけ


2004年 労働基準法改正 判例を明文化しただけ

「金銭賠償」を導入する意向もあったが、結局導入されず。

→解雇が不当だと判断されても、元の職場に戻れるだけ。それって…


韓国


97年 通貨危機

構造改革流動性↑?

正社員の雇用保護は日本と同じで緩和されていない。非正規雇用が増えただけ

『韓国の構造改革


韓国の非正規雇用者 約5割
日本の非正規雇用者 約3割


先進国では、パートタイム労働者(≒非正規雇用者)は正規雇用者より2〜3割ほど収入が低い。
日本では5〜6割低い(!)


ヨーロッパのパートタイマー 雇用期間が長い


93年 「短時間労働者の雇用管理の改善に関する法律」(パート労働法)

2002〜2003年に非正規雇用の労働条件の均等化について審議

「今後のパートタイム労働対策の方向について」→ほとんど効果なし

労働者側委員は上記に対して反対意見書


景気の悪化に伴い、社内での教育が縮小

終身雇用が崩壊すれば、なおさらこの傾向が強くなる(「教育してもどうせ出ていくんだし…」)


潮木守一『世界の大学危機』

学習よりも労働に興味を持つ若者→それに対応したカリキュラムが必要


ジョブカフェを開いても、若者が来ない(知らない)んじゃない?

若者自立塾 NPO利用