博士号取得率

下記のデータをブログにまとめようと思ったが、まとめきれず。
博士号取得率について考える - jotunの独り言


是非とも全ての大学の博士号取得率を学科(専攻)ごとに出して欲しいのだが…

NISTEPの昔の資料

マクロな(日本全体)データで議論してもあまり意味がないような。

大学院のカリキュラムや指導体制を整えて、学位取得をサポートしている大学院もあれば、単なる労働力として使われるところもあるので、学科(専攻)ごとにデータを開示して、それを踏まえた上で学生に入学先を選択させるのが筋かと。


論点

取得要件(「英文誌に論文2本」とか)を下げて取得率を上げてる場合は?
→問題ではあるが、5年も6年も在籍させるよりマシでは?取得要件も併記したデータを開示すれば不公平感はそんなにないかと。

学生が自らモチベーションを失って中退した場合でも、率が低くなるのは大学側にとって理不尽では?
→実際のところ「自主退学」と言っても、単純に「興味がなくなっただけ」という場合は稀。指導教官がアカハラまがいのことをやっていたり、実質的に何も指導を行っていない可能性がある。また、入学時に学生を確保するために都合のいいこと(「うちなら君のやりたい研究ができるよ!」)を言っておきながら、いざ学生が研究室に入ったら手の平を返し、結果的に学生がモチベーションを失うケースがある。しかも「自己責任」の名のもとに、学生が研究室に顔を出さなくなっても連絡すら取ろうとしない教授もいる。要するに「中退」も何らかの形で指導に問題があった場合が多いということ。


データ開示の効果

学生が「危険な」大学院へ行かずに済む
学科(専攻)ごとに開示することで、各学科(専攻)の競争意識を高めると同時に学科(専攻)内の連帯責任を明確にする
→そもそも一人の教授にすべての指導を委ねる日本の制度は極めてリスキー。アカハラの温床にもなりやすい
文科省の責任でもあるが、安易に博士後期入学者を受け入れ、指導はいい加減という大学院が多い。そういった無責任な大学院の姿勢を牽制できるのでは?(基礎知識のない学生を取ったり、まともに指導しなかったりすると「取得率」が下がるので)

基本的には「開示」だけでいいと思うが、あまりに率が低い学科(専攻)には何らかのペナルティを課してもよいかも。少なくとも、率が低い原因に関して調査をさせるべき。ちなみに率が高い学科に予算を出したりすると、取得要件を緩めて率を上げる虞があるので逆効果。


各大学の資料

こういうデータをちゃんと示してる大学って意外と少ない。

東大大学院修了者の進路


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しかし「大学院教育で何が…」を読むと、日米の違いに愕然とするな…日本もアメリカの大学院を目指すべきなんだろうが、あまりに差が大きくて参考にならないかもしれない。たぶん今のアメリカの大学制度は何十年もかけて改良を重ねてきた結果なんだろう。むぅ…


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↑のデータソース?(もう少し古い年度のデータだろうけど)

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その他

基本的に無能な教授の下で論文一本投稿するより、有能な教授の下で三本投稿する方が楽。
一般的な傾向として、博士の取りやすさは取得条件の厳しさを考慮しても「旧帝大>その他」だろう。
指導者としての能力が皆無に等しい大学教授は日本には大勢いるので、そういった教授の下で学位を取得するためには、学生のうちからPIと同等の能力が求められる。


たまにある勘違い

旧帝大系の学生が、研究テーマ等の理由で地方大学の院に進学。
そういう状況で危険な誤解:「指導教官の指導力に若干の不安はあるが、基礎学力が自分より低い学生でも学位を取ってるのだからなんとかなるだろう」
誤っている理由1:基礎学力はほとんど研究の役に立たない。
誤っている理由2:地方大学の無能な教官の下で学位を取ろうとする場合、必要なものは、理不尽な状況にめげない根性、学術的価値のない研究を黙々と続けられる思いこみの強さ、周囲の無理解に耐えられる神経の太さ、中途半端な実験結果を強引に論文にまとめる詐欺師的能力等々。それらは元々地方大学にいた人間の方が優れている場合もあるので、そういったタフな方々の実績は参考にしない方が良い。
(誤っている理由3:そもそも研究テーマで進学先を選ぶのが誤り。比較的まともな大学院とめちゃくちゃな大学院が混在する日本の場合は特に。)