太宰治ADHD説
太宰治ADHD(注意欠陥・多動性障害)説―医師の読み解く「100年の謎」
- 作者: 富永國比古
- 出版社/メーカー: 三五館
- 発売日: 2010/08/23
- メディア: 単行本
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「空腹という感情がどういうものか分からない」
(作中の人物の発言であるが、本人も同様の発言を知人の前でしている)
菓子にまで味の素をかけて食べていた。
精神科医・心理学者による太宰の分析では、「境界性人格障害」とするものが多いが、この本の著者は否定的。
ADHDやASの混合型という解釈のようだ。
石原の文学と政治の根底にあるものは、太宰の「弱気の気品」の対極にある「強さの下品」ではないか。
『走れメロス』 シラーの詩の影響
熱海の旅館で執筆していたところ、宿代が尽き、帰れなくなった。
夫人が檀一雄に交通費と宿代を持たせて会いに行かせたところ、太宰は喜び、檀を引きとめて毎晩飲む。
夫人から預かった金がなくなったため、檀を「人質」として宿に置き、菊池寛のところに金策に向かう。
数日経っても音沙汰がないので檀が井伏鱒二のもとへ行ったところ、井伏と太宰が将棋を指していた。
太宰は聖書を愛読。
内村鑑三の著作にも影響を受ける。
著者の信仰もあってか、後半は聖書に関する記述が多い。
個人的には太宰がキリスト教に「救い」を見出せなかったこともADHDやAS的傾向と無関係ではないと思うが、著者はそういう観点では考察していない。