生物独習ポイント
院試対策などのポイントを自分なりに挙げてみる。
あまりに基本的な用語は「キーワード」に列挙していない。
分野やレベルによって使用すべきテキストは異なるが、『エッセンシャル細胞生物学』は細胞生物学を中心に生化学や分子生物学、遺伝学もある程度カバーしてるので、一番使い勝手がいいかと。
もちろん『THE CELL』でもいいのだが、かなり分量があるので、試験前に知識を詰め込むにはちとキツイ。
それ以外は必要に応じて各分野の教科書・参考書を使えばいいと思う。
学部で生物をやったのならそれを使えばいいし、そうでなければamazon等で評価の高いテキストを探すべし。
個人的に『キーノート』シリーズがお勧めである。
〈生化学〉
構造式を全部書けるのがベスト。(個人的にはまず7種類くらいの小分類をまず覚えると楽だと思う)
http://www.ajinomoto.co.jp/kfb/amino/aminoscience/bc/b-3.html
ポリペプチドの等電点を計算させる問題もたまに出る。
キーワード:等電点、必須アミノ酸
酵素反応
ミカエリス・メンテン式とラインウィーバー・バークプロット(逆数プロット)が頻出。
阻害の形式(競合、非競合、不競合)とそれぞれの逆数プロットの変化も覚える。
キーワード:アロステリック効果
解糖系、TCA回路、電子伝達系、β酸化について、それぞれ概要、主要な分子、得られるATPやNADH等の分子数を把握しておく。
キーワード:
〈分子生物学〉
遺伝子の転写・翻訳
特に転写が重要。
転写の機構とその制御についてはかなり細かい知識が求められる。
キーワード:σ因子、CpGアイランド、ポリA、キャップ構造
遺伝子発現の調節
ラクトースオペロンを題材にした発現調節の話は頻出。
ここ10年くらいはよく話題になる。
シトシンメチル化とヒストンメチル化についてそれぞれ機構と効果を理解する。
ウラシル、シトシン、チミン、メチルシトシンの構造式は覚えておく。
分子生物学的研究手法
PCRや免疫染色、ウェスタンブロッティングの原理、結果の考察なども頻出。
〈細胞生物学〉
細胞内小器官
各種小器官の機能や形状、位置をまず覚える。
3種の細胞骨格(微小管、中間径フィラメント、アクチンフィラメント)の機能、分布、構成分子をまず抑える。
チューブリンやアクチンの伸長・収縮の機構。
あとキネシンとダイニンの動く方向とか、アクチンとキネシンによる筋収縮の機構とか。
細胞周期
G1→S→G2→M→G1という全体の流れと、がん化の際に起こる問題について。
あとアポトーシスの機構とか。
キーワード:サイクリン、Cdk、カスパーゼ
通常の細胞分裂に関しては、前期→前中期→中期→後期→終期(→細胞質分裂)でそれぞれどのような現象が起こるのか押さえておく。
減数分裂は第1分裂と第2分裂で何が起こるのか、通常の細胞分裂と何が違うのか理解する。
情報伝達
受容体の種類(イオンチャネル共役、Gタンパク共役、酵素共役)と代表的な受容体、主な下流のカスケードをまず押さえる。
コレラ毒素や百日咳毒素の効果を説明させる問題なんかもたまに出る。
細胞内輸送
まずは輸送の大雑把な流れ。翻訳→シグナル分子によるタグ付け→標的部位でのプロセシング
クラスリンの被覆の仕組みや、SNAREによる標的の認識の仕方など。
〈遺伝学〉
ハーディー・ワインベルクの法則
計算問題がよく出る。
単遺伝子疾患
家系図から発症確率を計算させる問題が頻出。
原因遺伝子が常染色体上か性染色体上かで異なるので注意。
染色体異常
常染色体トリソミー、常染色体モノソミー、性染色体トリソミー、性染色体モノソミーの具体例を覚えておく。
あと染色体異常が起こる機構など。
〈発生生物学〉
臓器の胚葉の由来
まずは外・中・内のどれか覚える。
余裕があれば中胚葉に関して細かい由来を。
初期発生
誘導
移植実験を考察させる問題が頻出。
〈生理学〉
院や試験の種類によってどの程度の知識が要求されるかかなり違う。
医学系の院だとかなり詳しい知識が必要か。
個別の臓器の機能や、特定の生理機能(水分の調節とか)を問う問題が多いので、ある程度広く勉強しておくしかないのかと。
〈免疫学〉
院試で深い知識が要求されるところはそんなに多くないと思うのだが、医学系の院なら押さえておいた方がいいかも。
〈院試等の勉強法について〉
参考書読んだり問題集解いたり過去問解いたり単語帳(実際はウェブ上の学習アプリで代用)で暗記したりいろんな学習法を試した。
どの方法でもそれなりに効果はあるのだが、年齢が上がるにつれて記憶力は落ち、一度学習したことを数週間後には忘れていることがある。
ゆえに、参考書にしろ問題集(過去問)にしろ、読んだ(解いた)後で要点のみをまとめ(ノートだと散逸しやすいので、OneNoteというソフトを使っている。無料のものならEvernoteがおすすめ)、試験前の一日で詰め込めるレジメのようなものに学習内容を集約することにした。
また過去問が入手できる場合には、まず過去問の丁寧な解答を自分で作成することから始めた。
その作業によって傾向が掴め、基礎知識が身につく上、再び過去問に挑戦した時に答え合わせが楽という利点もある。